- 1 名無しさん 2010/02/12(Fri) 21:12
- だいじょうぶかな。
勇志は後ろにうつむきがちについてくる少女を一瞥し、ため息をついた。 「今から帰るけど、何か買うものある?」 そう言ってこの町で一番大きな店の前でとまると、少女は無言のままで勇志を 見つめ、首を振った。
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2 名無しさん 2010/02/12(Fri) 21:31
- 2150年。5月5日。この日人類で大きな悲劇がおこった。
三万人の命が日本から一度に消え去った。 それは地震や火事などの災害ではない。 みずから命を絶つ、自殺でだった。 この悲劇はさまざまな憶測や噂が飛び交った。 誰かが催眠術にかけたのではないか。 テロではないか。 パンデミックではないか。 さまざまな研究者や科学者、評論家が、さまざまな議論をぶつけ ても、その謎の答えは闇の中だった。 そこで打ち出されたプロジェクトは、その事件で自殺した、その何人かの脳を
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3 名無しさん 2010/02/12(Fri) 21:52
- 「何か飲む」
そう言ったあと勇志は少女が機械であることをおもいだした。 勇志は少女を椅子に座らせると、せわしくカバンの中をあさり録音機を とりだした。 「一応仕事だから」 少女は勇志を見つめたまま、なにもいわなかった。 「きおくは」「記憶は戻ってないよね、まだ」 「なまえ、自分の名前は言える?」
少女は小さくゆっくりとうなずき、消えそうな声で「間中はじめ」 と答えた。
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4 名無しさん 2010/02/15(Mon) 12:47
- 1
「被験者の16歳の少女はどうよ?」 同じ研究所の同僚、高島竜がにこにこしながら勇志の肩をたたいた。 「あぁ」 「えーなんでそんな顔すんの?女子高生と一夜を過ごしたんでしょ? もっと言うとこれから先だってずっと暮らすんじゃん。いーよなぁ 俺なんて76歳のじいさんだぜ?もうなんつーの?介護?もうぼけ ちゃって思い出すもんも思い出せないな、っていう。で、記憶は 戻ったの?なんかはなした?」 「名前は覚えてるみたい。だけど、思い出しているのかどうかはわからない けど、口を全然割らないんだよ。こまるよ、普通に。会話も続かないし大人
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5 名無しさん 2010/02/15(Mon) 18:54
- 2
家に着くと電気はついてなく、真っ暗な状態だった。勇士はリビングの 電気をつけるなり、はっとしてすぐさまはじめの部屋をあけた。 「な、なんだ、びっくりした」 机の上のライトスタンドだけがついていて、はじめはベットの上に座って いた。 しんと静まりかえる部屋で勇士は作り笑いを浮かべた。 「なんで電気つけないの、いなくなったと思ってびっくりするじゃん。 それに、この部屋、寒くないの?エアコン付けなよ」 「エアコン」はじめは勇士を見つめながらつぶやいた。瞬きをするとふわ ふわと動くその長いまつ毛に、透き通る様な茶色い瞳。そして機械とはおも
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6 名無しさん 2010/02/15(Mon) 19:20
- 3
「なあ聞いてくれよ。あの機械じじい、俺に1日中説教してくんだよ。 それに6時にはねてテレビ見てるとうるさいとかいって勝手にけしてくるし 。なんでおまえと暮らさなきゃいけないんだとかいって、もうなんど説明 しても同じ事聞くし。」 「ずいぶん人間らしいと言うか。記憶の回復が早いんだな。」 「でも肝心な事は思い出してないみたいだし」
「時間がかかるわよ」
ふと後ろから女性の良く通る声が聞こえた。
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7 名無しさん 2010/02/16(Tue) 19:05
- 「最悪じゃんそれ」
「勇士君は確か若い女の子だったわよね。なにか思い出した?」 「いや。それが日常レベルでも思い出せない事が多いみたいで。」 「そう」山辺はいぶかしげな表情を浮かべた。 「それって、演じてるとかじゃなくて?」 「そんな感じではないけどなぁ」 「や〜、勇士はアホだからなぁ。俺が今日勇士の家に行ってがつんと聞いてやるよ」 「それなら私がいくわ」 高島の顏が一瞬真顔になり、それからいつものふざけた調子で笑った。 「いーねー、二人はあつくて。つき合っちゃえば良いのに」 「ちょっと、高島くん」
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